Environment

水耕栽培で実現する読谷村の持続可能な未来ー地元の食文化を支え、環境保護に寄与する取り組みー

始まりは日本一人口の多い村、読谷村から

今回ご紹介したいのは、沖縄県読谷村で室内水耕栽培を行っている株式会社玉城ファームさんです。代表取締役の玉城真悟さんは、もともとスキューバーダイビングの機材ショップで勤務されていましたが、2014年から新たな挑戦を始め、今年で10年目を迎えました。

玉城さんは、栽培から販売までの道のりを未経験からスタートされたそうですが、順風満帆ではなく、日々試行錯誤を重ねながらここまで来られたとの事です。思うように販売に結びつかず、当初は手売りという形で一株一株を販売するために奔走されたそうです。

室内での栽培を、初めは横幅約60㎝程の小さなスペースからスタートしましたが、現在では月に1500株収穫出来る規模に成長し、さらなる拡大を目指しています。

現在は、主に沖縄県内のリゾートホテルに出荷されており、地元の食文化にも貢献しています。
玉城ファームさんの取り組みは、地域の農業の新たな形を示しています。

水耕栽培とは・・・

基本的に土を使わずに水だけで植物を育てる方法です。

植物の根の部分に溶液の入った水に浸し、水を定期的に流し循環させる事で酸素を送り込み、太陽の変わりにLEDライトを照射する事で、天候に左右されることのない環境の中で成長し年中安定した農作物を提供出来ます。

近年、災害が増加している中で、水耕栽培は天候に左右されずに安定した野菜供給が可能です。
さらに、土耕栽培で使用される農薬が海洋汚染を引き起こすリスクを軽減し、環境保護にも寄与します。
干ばつによる土壌汚染の影響も、水耕栽培では安心です。また、畑がない都心部でも簡単に栽培ができるため、地域密着型の地産地消を実現しやすいのです。

これからの時代、水耕栽培が注目される理由は、気候変動や環境問題に対する対応力が高く、持続可能な農業を促進する手段としての可能性があるからです。
この技術を利用することで、都市部でも新鮮で安全な野菜を供給できる未来が期待されています。


安全性について

実際に私もお伺いするまで心配や疑問がありました。
私が心配に思いお尋ねした事をまとめていきたいと思います。

水の中に入ってる溶液って害はないんでしょうか?どういった成分が入ってるのですか?

きっと同じように心配される方も多くいっらしゃると思います。

養液と農薬を同じものとお考えになる方が多くいらっしゃいますが、「農薬」と「化学肥料」は異なるものです。農薬は病害虫の駆除や畑の雑草の除去を目的としたものであり、一方、養液(肥料)は野菜に必要な栄養源となります。養液には窒素、リン、カルシウム、マグネシウムなど、植物の成長に必要な栄養素がバランス良く配合されています。

しかし、過剰に使用することで、野菜の味にえぐみが出てしまうことがあります。また、土壌中の微生物が減少する原因となったり、養液が地中や海に流れ込むことで環境汚染を引き起こす可能性もあります。

玉城ファームでは、常に水が循環し、適切な温度を保つ空調設備を整えた環境で、独自に開発した野菜由来の酵素水とハイポニカという液体肥料を配合した養液を用いて栽培しています。たくさんの酸素を取り込める仕組みにより肥料の使用量を半分に減らせています。

スポンジ培地に種を植え、発芽させてから養液の入った水と光の中でゆっくりと成長していきます。
適正な温度設定と、定期的に水を循環させることで根から沢山の酸素を取り込み発育を促し、また、根腐れを防止します。

また、屋外の自然環境に近い状況を再現するために、照明を点けたり消したりすることで、農作物の成長を促進しています。さらに、適切に電気を消す時間を設けることで、環境への配慮がなされ、電力消費の抑制にも繋がるとされています。こうした方法から、時間と手間をかけて丁寧に農作物が育てられている様子が感じられます。

太陽がなく育った野菜からも十分なビタミンは取れるのでしょうか?

LEDライトは、植物の光合成を促進し成長を助けます。
これにより、植物は必要な栄養素を合成することが出来、光合成を通じて糖分や他の化合物を生成し、そこからビタミンを合成します。また玉城さんは光の強さ・光の質(波長)や照射時間を独自で研究し、農作物が一番健康な状態になるように環境を整えられています。

土壌環境では、農作物が土壌の栄養を根から吸収したり、不安定な天候にも対応するため大量のエネルギーを消費し、ストレスがかかります。
ですが水耕栽培では十分な栄養を培養液からダイレクトに吸収し、豊富な栄養を吸収して育ちます。

私は光や波動などの知識はありませんでしたが、とても熱心に丁寧に説明されてたのがとても印象的でした。

その場でレタスを頂いのですが、甘みと苦みのバランスが絶妙で、口の中に一瞬にして清々しい香りが広がります。
シャキシャキとした歯ごたえが強く、とても瑞々しさがありました。


水耕栽培とSDGs(持続可能な開発目標)の関係性


これからの農業のあり方に大きく影響されることだと思いますが
電気(エネルギー)の消費が多く、環境問題に弊害がないのか?水の消費が多く節水にならないのでは?と必要異常な資源を使用してるように思いますが、実はとっても環境に良い条件が揃っています。
それぞれどういった点が環境に良いのかご紹介していきます。

目標6: 安全な水とトイレを世界中に

水耕栽培では、土耕栽培に比べて最大90%の水を節約出来るため、貴重な水資源の無駄を減らします。
大量な水を使用してるように思いますが、実際には水を循環して使用するため少量の水で栽培が可能です。


目標11: 住み続けられるまちづくりを

都市農業の一環として、水耕栽培は都市内での食料生産を促進し、食の地産地消を実現します。
また地元生産は、新鮮な野菜を


目標12: つくる責任 つかう責任

水耕栽培は資源の効率的な使用を促進し、廃棄物の削減や持続可能な消費パターンに寄与します。


目標13: 気候変動に具体的な対策を

離島特有の課題ではありますが、沖縄では夏の厳しい暑さのために葉野菜の収穫が難しく、県外からの輸送に依存しているのが現状です。この長距離輸送による二酸化炭素の排出量を削減することが重要です。天候に左右されることなく、地元で生産された作物を新鮮なまま供給することで、地域社会の活性化や住民の健康促進にも寄与します。


目標15:陸の豊かさを守ろう

限られた土地で効率的に生産が可能なため、森林伐採や農地の拡大を抑制する助けになります。
土壌を使わないため、土壌由来の病害虫のリスクが低下し、農薬の使用が少なくて済むため、環境への負荷が軽減されます。環境にもよいという事はわかりましたが、デメリットも存在します。
電気代や設備投資などのコストが高く、初期投資や運用コストが農家にとって大きな負担となることがあります。
また、高度な技術や知識が必要になる点等などが考えられます。
ですが日本の農業は就業人口の減少や高齢化、後継者問題に直面しています。
このような背景の中で、伝統的な農業の継続が難しくなる一方で、水耕栽培は効率的な生産手法として注目されていますが、同様に人手を要する部分があり、技術の習得や運営に必要な人材確保が課題となるんじゃないでしょうか。

玉城ファームさんのお野菜

無農薬でお子様も安心して食べられます。
葉は柔らかく、レタスの香りが強いのにえぐみがないのが特徴
冷蔵庫で1週間以上保存出来ます。
食べ方: サンドイッチ ・焼肉の包み菜 ・しゃぶしゃぶ
分量 :1株約100g~170g


早速、サンドウィッチにしてお家で頂きました!
冷蔵庫の中に水を入れたコップの中に根を付けて保存したのですが、一日で成長していました。
生きた野菜をそのまま食べる…贅沢な瞬間です!

玉城ファームでは通販だけでなく、ご家庭で気軽に楽しめる「水耕栽培のワークショップ」を開催しています。農産物が食卓に並ぶまでに地球環境とどのような関わりがあるのか、楽しくわかりやすくお伝えすることで、皆さまが少しでも環境問題について考えるきっかけになればと願っています。そのほか、沖縄ならではの地域性の付き合いやネットワークを活かし、信頼ある農家さんの旬の農産物もあわせて提供いたします。

https://tamashirofarm-ltd.org/ 玉城ファームHPより引用

最後に

沖縄には「ぬちぐすい」という言葉があります。「ぬち」は「命」、「ぐすい」は「食」を意味し、元気の出る食材や食事を表します。
玉城さんが幼少期におばあからよく聞いた言葉で、野菜を大切に育て、”気”(エネルギー)をたっぷり込めた野菜を食べることが、健康の秘訣であり、薬と同じだと教えられました。
実際、「元気」という言葉も「気の元」と書き、気を多く含んだ食べ物が活力を与えるとされています。

水耕栽培に情熱と愛情を注ぐ玉城ファームの野菜も、きっと豊かな”気”を含んでいることでしょう。

店舗名称:株式会社玉城ファーム
事業者:玉城 真悟
所在地〒904-0324 
沖縄県中頭郡読谷村長浜1819-3
電話番号:090-5730-9586
営業時間:10時〜17時 定休日:土、日
メールアドレス:zanpa0114@gmail.com
H.P:https://tamashirofarm-ltd.org/contact/

投稿者
econawa
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